モダンスイマーズ『死ンデ、イル。』稽古場レポート 18.7.15
演劇学科企画制作コース4年 横見咲季

 中々タイミングが合わず、今日初めて通しを拝見することが出来た。そうか、通しってこういうことを言うのか。衣裳がほぼ決まっていて、小道具が揃っていて、セリフは役者の中に入っていて、足りないことと言えば些細な感情の動きと「観客」くらいだ。素人目から見るとほぼ完成されていて、これ以上要素が足されたら溢れてしまいそうに見える。お客さんが入ったらこのお芝居はどうなるのだろうか。

 私は今日の稽古では、「観客」のことを意識していたような気がする。私が稽古を観たり本を読んだりして感じたことだが、今作は心が痛くなるようなシーンが沢山ある。胸がグーっと締め付けられる感覚が何度もあって、観るのが正直しんどい(でも目が離せない)。私はヒロインの叔母・ユウコさんが、恋人が出来たことで「女」になるシーンが、観ていて凄く辛かった。中年の恋愛に対しての嫌悪感なのか、恋をしたことで変わる声色への違和感なのかは分からないが、私はこの場面を観るのがとても痛い。目を背けたくなる感覚がある(でも目が離せない)。しかし、隣の席で稽古を観ていた同期の新田は、別のシーンに痛さを感じるかもしれないし、痛さとは別の感情になっているかもしれない。自分だけのことじゃなく、他者のことも想像する。そしてこれからこの作品を観る観客のことを想像する。観客の一人が何気ないシーンでクスッと笑ったことが、芝居の大きな起点になるかもしれない。やはり演劇には「観客」が必要不可欠なのだ。

 個人的に面白かったのが、別の稽古場で行われていたオーケストラ(ブラスバンド?)の音が、割と盛大に、こちらの稽古場に入ってきたことである。私は稽古場の閉塞感があまり得意ではない(どの団体の稽古場に関わらず)。そのため外界の音が所々介入していく感じになんだかホッとした。もちろん役者さんにとっては迷惑だったと思うが。