モダンスイマーズ『死ンデ、イル。』稽古場レポート 18.7.11
演劇学科企画制作コース4年 横見咲季

 「木を見てはいるんだけど、森を見てない」
なんてカッコ良い駄目出しだろうか。対話をしている相手がどういう家庭に育ち、何を経験し、何を感じているのか、ということをもっと想像する。その上で言葉を投げかける。そういう意味での冒頭の駄目出しらしい。納得。演出の蓬莱さんが投げかける言葉は、スマートでありながらきちんと理解ができる。私も駄目出しを聞いていて、「あ、なるほど」と腑に落ちる感覚が何度もあった。「何か違うんだよね…」とか「もうちょっとこうしてああして…」とか、そんな曖昧な言葉じゃない。きちんと言葉で共有がなされていて、それを役者が受容する。その一連の流れがあまりに自然なので、今振り返ってみて初めて、その凄さを実感した。

 「演出家の仕事は演技指導ではない」という言葉を聞いたことがある。またまた〜と思っていたが、実際モダンスイマーズの稽古に演技指導はなかった。役者の中の演技プランを更新しながら何度も実践し、それを演出家が修正していく。決して否定することなく、しっかり意味付けを行った上で違う道筋を提示する。演出家という仕事、役者という仕事、それぞれが仕事を全うしているからこそできる、プロフェッショナルな稽古だと感じた。自分の持っているもの、持ってきたものを提示する場所が稽古場。「つくる」と同時に「発表する」場所でもあるのか。それは、課題を自分で消化していくだけの力がなければ出来ない。そういう人たちの集まりを覗かせていただいているのだ。本当に勉強になる。
 
 稽古が終わり、一緒に見学していた新田とバスに揺られる。役者を志す彼女の視点、制作者を志す私の視点。やはり違って、でも共通するものもある。私は稽古場にプリンターがあるのが凄く魅力的だった。良いな、私も小型のプリンターを持ち運びたい。